糸井名生氏の柳通り便り「Getting A Break」

Itoi,LLC 社長
 糸井名生(いとい・なおまる)氏


11月のある日、大きな仕事が舞い込んで来ました。うまくいけば、これからの数年間はこれで十分生活していけるくらいの収入になりそうな仕事です。内容は私の専門のセキュリティ関係で、技術的に面白いし、発展性もあります。

この仕事の依頼のメールを読んだときには、実感が湧かず、ゆっくり考えてみようと、近所のスタンフォード大に散歩に行きました。考えれば考えるほど、これは非常にありがたい話です。それと同時に、"I got a break" という英語のフレーズが頭に浮かびました。


"Break" という単語には二つの意味合いがあると思います。一つは、長い労働から解放されて一休み、という意味。"Coffee break" というふうに使いますね。もう一つは、幸運、という意味で、"Lucky break"などと言います。この言い回しが頭に浮かんだ理由は、私の気持が、この両方の意味にぴったりきたからです。

起業してから8ヶ月間、安定した収入とお客なしで、手探りでやってきました。そのプレッシャーから解放されて一息つける、という気持が、一つめの意味。 8ヶ月の間は必死なので自覚がなかったのですが、解放されて振り返ってみると、なかなか辛かったんだなあ、とわかります。前回のブログの妻のエントリを読 んでも、随分心配かけてたんだなあ、と思いました。

また、いくら努力していい仕事をしても、お客がついてお金を払ってくれないと、ビジネスとしては成功とは言えません。お客の意思決定プロセス、財政状況等 は、自分ではどうにもできませんから、ビジネスの成否には運も大きな影響を及ぼします。今回はいいタイミングで、素晴しいお客に巡り会えたので、幸運だっ たとも感じます。

私のビジネスが大きく育っていくためには、いくつも break にめぐり会わなければならないでしょう。そして、得た機会を確実にものにしていかないといけません。この仕事は来年初頭から本格的に始まります。まずは、 初めての大きな獲物を、がっちり掴まえよう、と気持を引き締めている年の瀬です。

(糸井名生氏のブログ「柳通り便り(http://blog.goo.ne.jp/naomaru1)」より転載)


糸井名生(いとい・なおまる)氏

1973 年生まれ。名古屋大学工学部情報工学科卒。1996年に渡米し、ミシガン大学コンピューターサイエンスの修士・博士課程へと進学。電子認証などのセキュリ ティプログラムに関連する研究でPh.Dを取得。2001年、サンマイクロシステムズへの入社を機にシリコンバレーへ。アクティブカード社などを経て、 2007年4月Itoi,LLCを起業。



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