「2015年に日本の財政破綻が発端となって、日本発の金融危機が起こるのか?」

トランス・パシフィック・ベンチャーズ(Trans Pacific Ventures LLC
President & CEO
安藤 茂彌氏 (Shigeya Ando)

 

 2015年に日本の財政破綻が発端となって、日本発の金融危機が起こるのか?

日本の財政破綻を懸念する声が海外でめっきり増えてきた。財政破綻とは日本政府が国債(すなわち借金)を返済できなくなることである。何しろ日本の国債発行残高はGDPに比較して断トツの世界一なのだ。

 

 

昨年5月に財政破綻したギリシャより大きいのだ。だが日本政府は「大丈夫だ」と言い続けてきた。理由は二つある。日本国債の保有者の96%は日本の投資家だからだ。日本の投資家は日本の金融機関、ゆうちょ銀行、年金基金等である。我々が銀行に預けた預金は、銀行が日本国債を購入することで間接的に国債を保有していることになる。


 それはその通りと思う。だがこの状況をいつまで続けられるのか。2011年度の予算を見てみよう。税収は41兆円しかないのに、歳出は97兆円に達する。不足分を補うために44兆円の国債を発行するという。

 これを支える貯蓄1400兆円についても今後増える見通しは立てにくい。日本は経済停滞が続き、日本人の所得は伸びていない。生活が苦しくなれば貯金を払い出さざるを得ない。1400兆円は減少する可能性が高い。そう遠くない将来に、国債発行残高が国民貯蓄を上回る時が来る。その時には外国に借金をせざるを得なくなる。

 IMFは、「日本の国債残高は2015年に国民貯蓄を上回る」と試算している(英エコノミスト誌の報道)。その根拠は早いピッチの国債の発行と貯蓄の減少見通しにある。10年前の国債発行残高は389兆円だった。それが2011年度には943兆円になる。この10年間で毎年55兆円ずつ国債残高を増やしてきたことになる。

 では諸外国に安心してもらうようにするには、どうすればよいのだ。国債発行に頼らなくても済むように、厳しい財政規律を導入するしかない。それには税収を上げ、支出を抑えるしかない。

 ちなみに、現在の消費税5%を10%にすると10兆円の税収増になる。20%に増やすと30兆円の税収増になる。それでもまだ国債を減らすことはできない。国債残高を現状水準で止めるには27%の消費税導入が必要である。子ども手当などをばら撒いておれる状況には全くないのである。



 貯蓄を食い潰した時の資金調達は日本に不利になる。日本国債の平均利回りは現在1.7%程度と低利であるが、日本政府が外債を発行しようとすれば海外の投資家は高い利回りを要求してくるだろう。

 どの水準の金利になるかはヘッジファンドが決めるだろう。「日本は危ない国だ」というレッテルを貼られると、ヘッジファンドがクレジット・デフォルト・スワップを使って、日本国債の価格を下落させ、金利を上昇させる。日本政府に金利の決定権はない。

 もう一つの問題はどの国が日本を助けてくれるかである。米国は自国の財政をバランスさせるのに精一杯である。欧州も域内問題国の救済で忙しい。IMFは日本のような大国が倒産するのを前提としていない。救済するには日本の負債額が余りに大き過ぎるのである。海外メディアは日本を救済できるのは中国以外にないとみる。中国の外貨保有額は240兆円もあるからだ。だが中国が実際に日本を助けてくれるかは大きな未知数だ。

 日本はいま来年度予算編成の時期にある。だが、根本的な日本の問題に向き合った議論は全くない。与党は小沢問題でガタガタしているし、野党は政権交代させることしか頭にない。日本の将来に向けた議論はせずに、政党間の足の引っ張り合いだけに終始している。

 日本人は太平洋戦争の終結を最後の最後まで引き伸ばし、原爆を浴びた。戦後の復興は米国主導で行われた。過去70年間に、日本人には自国の命運を左右する大問題を自らの手で解決した実績がない。「日本の倒産」を日本人自らの政治的意思で未然に防ぐことができるのか。それともまた重大な決断を「外圧」に委ねるのか。いま日本が世界から問われているのは、日本人の「政治的成熟度」すなわち「民度」であるように思われる。

  

(ダイヤモンド・オンラインシリコンバレーで考える 安藤茂彌より転載)

安藤 茂彌氏 (Shigeya Ando)