第3回 「成功するための組織の構築とマネジメント」


スピーカー:曽我 弘氏

(Spruce Technology Inc. 創業者
Improvista Interactive Music Inc. 共同設立者)


スタートアップの資金集めやスタッフ集めに成功したとしても、組織として実際動き始めてみると思い通りにはいかないことも数多くあるはず。現場を効率よく、また失敗を最小限に留めながら動かしていくためには、どんなマネジメントを行ったらいいのでしょうか?


今回は、シリコンバレーで11年間ハイテクベンチャー企業経営を行われている曽我氏に、「スタートアップの組織作り」をテーマにお話を伺いました。 1996年に立ち上げたDVDオーサリングツール開発のSpruce Technology社での経験談をもとに、多国籍の従業員、法的制度の異なる環境下で、いかに最強のチームを作り上げていったのか、そのノウハウと失敗 談を率直に語っていただくことで、会場も大変湧き、その後の質疑応答も活発に行われました。

曽我氏はSpruce Technology社の設立当初から売却まで、組織をどのように構築していったかを迫力あるトークで語られました。創業期、事務所の手配から事務用品の 購入まで何から何まで自分でやらなければならない状況下で、気心の知れた社員が非常に大きな力になってくれたというエピソードは、ベンチャー企業の創業時 の人材の重要性を十分理解させてくれるものでした。

初期の課題として、エンジニアリングVPの発掘がありました。懇意にしていた友人からの紹介で優秀なエンジニアリングVPを獲得したところ、今度はその彼 が元同僚であった天才技術者をリクルートしてきてCTOとして協同経営者として参加することになります。幸運にも有能な人材に恵まれた曽我氏ですが、優秀 なエンジニアを採用する時には、明確なビジョン、チャレンジングでかつ魅力的な開発テーマ、それといい給与条件とストックオプションが必須の条件であるこ とを強調されました。また、曽我氏の技術者を鼓舞するビジョンと人間的魅力があったことが、人材獲得の重要なポイントであったともいえるでしょう。

コアとなる3人の創業者は、後に経営状況が厳しくなった中でも最後までSpruce社に留まり、会社売却という困難な仕事を最後まで社長と一緒に進め、他 の社員をうまくマネージして、コア-エンジニアのチームを確保してくれたそうです。これがApple社のSteve Jobs氏が欲しかった資産のひとつであったという話は大変興味深いものでした。苦しくなるとマネージメントチームが分裂するケースが多いベンチャー企業 では、創業時の強固なチーム作りが成功の大きなポイントであり、信頼できる人材の確保や技術の核となるエンジニアの獲得が非常に重要である事がわかりま す。また、過去に一緒に働いた人間であれば望ましいと曽我氏は説明されました。

次に、企業の成長段階に応じてどのように組織を強固にしていくべきかをお話いただきました。プロトタイプ完成以前にVPマーケティングの採用、販売実行段 階でのVPセールスの確保(売れるものがないと優秀なセールスマンは採用できない)、ExitプランにあわせてのCFO採用など、タイムリーに適切な人材 を採用するというのはベンチャー独特のマネジメント手法といえます。実際にはなかなか理想通りにはいかなくて何度か人材の入れ替えを余儀なくされたという 話も、失敗談として語られました。

さらに人材採用については、ご自身の失敗からもいくつかのポイントを踏まえたアドバイスがありました。採用する人のスキルはオーバースペックでもダメだ し、アンダースペックでも使えないという点は、ベンチャー企業経営ならではの人材マネジメントといえます。また、訴訟社会の米国では、競合他社からの採用 は非常に慎重に行ったほうが良いというアドバイスは、起業志望者にとってはよい教訓となりました。採用する人のリファレンスについては複数取ること、ヒア リングのときに先方の話の行間をしっかり読んで判断することの重要性も、失敗を最小限にするうえで必須だという話もありました。最初から将来のことをあま り沢山コミットしない、Job Descriptionは出来るだけ具体的に細かい点まで記入しておく等は、ベンチャー経営だけでなく、米国ビジネス上での注意点といえるでしょう。最後 に、ベンチャーのマネジメントに一般ルールはない、その時の人材供給バランスや、手持ち資金の状況等に合わせケースバイケースで柔軟に対応していくべきだ と曽我氏は強調しました


講演後の質疑応答も大いに盛り上がりました。金銭的に余裕のないベンチャーでの従業員のモチベーションの高め方、本人のスキルとJobが合わなかった時のマネージメント方法など、実際の現場で困っているベンチャー経営者等から次々に質問が飛び交いました。




既に起業経験のある方や将来の起業を真剣に考えている人ばかりが21名集まり、大変盛り上がりました。


タイトル: 第3回 「成功するための組織の構築とマネジメント」
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