第6回 「起業に伴う税務知識」 開催報告

スピーカー:公認会計士 金子やよい氏、小澤公嗣氏(EOS LLP公認会計事務所)




 皆さんは会社の設立や運営に当たって、日ごろから税金に関わる問題に直面していませんか? 特に税金申告をしなければならないこの時期は、個人事業を運 営されている方にとっては胃が痛む季節です。そこで今回のラウンドテーブルでは「起業に伴う税知識」というテーマに基づき、EOS Accountants LLP の金子さん、小澤さんをゲストに迎え開催しました。会計スペシャリストのお二人に起業に際するさまざまな知識をかい摘んで説明していただき、起業家、企業 経営者が知っておくべき基本的な会計・税務知識を習得していくというものでした。


 まず冒頭に、SVJENスタッフの遠藤、許斐両氏より、SVJENデータベースの自己紹介機能についての説明が行われました。この機能については今後ラ ウンドテーブルに参加される方にご利用いただき、お互いのネットワーク作りに役立てていただきたいと考えております。詳細な使い方はまた追って、 RTのメーリングリストに配信をする予定です。

 さて、今回の講演の具体的な内容は大きく分けて会社設立にあたっての税務知識、会社に関わる税金の種類、そして企業形態の種類とそれぞれに応じた税務戦 略というものでした。冒頭に司会の遠藤氏より指摘があった通り、税金の種類には予想もつかないものもあり、IRSの査察を受けて初めて明らかになる、とい うものもあります。自分でできることは自分でやる、という企業家の基本理念は維持しつつも、要所では専門家の意見を伺うという姿勢が妥当なようです。

◆デラウェア州での起業はメリットがあるか?
 アメリカで起業をする際、デラウェア州に登記されるケースが多いとよくいわれていますが、会社法が整備されている、司法関係者が会社寄りの判例を下す場 合が多いなど、メリットは多いようです。ただ一方で、州の独自の法人税制に基づいてとんでもない税金の請求があるなど、きちんと仕組みを理解していないと 思わぬ事態に巻き込まれることにもなりかねない、との話がありました。逆に、カリフォルニア州には起業家にフレンドリーな税制も整備されており、金子、小 澤両氏とも、カリフルニアで起業される場合は地元で登記することを勧めていました。

◆会社に関わる税金について
 会社の運営に際しては連邦法人所得税、州法人税、給与関係税、売上税、固定資産税など、多種多様な税金がかかります。それぞれの税金は個別の算出方法や 申請のフォームを必要としているため、個人だけで処理をするには多大な労力を要します。特に給与関係税などはペナルティも多く、できるだけ専門家もしくは 給与代行会社に任せた方が良いという金子、小澤両氏の見解でした。また州法人税では事業所の場所(特に複数の州に事業所がある場合)によって法人所得の配 分も必要となるため、注意が必要です。

◆起業家に有利な企業形態は?
 USにはS-CorpやC-Corp、あとLLC、LLPといった様々な企業形態があり、どれが起業家にとって有利か一概にはいえないのが現状です。た だ税金の面からはPass-through(起業家自身が直接課税される仕組み)が利用できるかできないかが大きなポイントで、個人事業主の方は特にこの 点に注意する必要があるとのことでした。いずれにしても一度起業してからの会社形態の変更は多大な労力を要するので、事前に会計士の方に相談することが重 要とのことでした。

◆プロフェッショナル・サービスを利用するに当たってどういう点に注意するべきか?
 会計士のみならず、恐らく会社を経営されている方が専門家を使う場合に最も重要なことは、日ごろから雇用、給与、事業内容などの情報を詳細に記録してお くことです。特に問題に巻き込まれてから急に飛び込んでもアドバイスをしにくいので、金子、小澤両氏とも、常に問題を先取りする姿勢が重要との認識を示さ れていました。


 最後に、会計士を含めたProfessional Servicesの選び方に関して、参加者より実体験に基づく活発な発言がありました。特に複数のサービス(Legalなど)を同時に使わなければいけな いケースなどは煩雑な場合が多いので、まずは信用できるパートナーを探すところから入る必要がありそうです。例えば以前にも知り合いの弁護士に安いという 理由で給与関係の契約書等を任せたところ、実は給与関係に関しては専門ではなく、あとでやり直さなければいけなくなった事態など、参加者より生々しい実体 験談が披露されました。

 今回のラウンドテーブルはタイムリーな議題ということもあり、参加者の皆さんが具体的な実例を元に活発な討議をされていたのが特に印象的でした。


タイトル: 第6回 「起業に伴う税務知識」 開催報告
登録方法: ※当イベントは終了しました


記事についてのお問い合わせは、info@svjen.org まで。