第4回 ネットワーキングセミナー 「Recipe for Failure - 失敗のレシピ」開催報告
於:Wilson Sonsini Goodrich & Rosati (WSGR) パロアルトオフィス

“Happiness is to have dreams. Success is to make them come true.” 失敗を認めて受け容れるということは難しい。しかし、失敗から学び、挑戦し続けることが成功につながる。Sughrue Mion、JETRO、Access Technology、WSGRといったスポンサーの方々とSVJENのボランティアスタッフの方々のご尽力を賜り、シリコンバレーで10社のベンチャー を起業した連続起業家 カムラン・エラヒアン氏をお迎えして、「失敗のレシピ」と題したセミナーが開催された。ペン型入力コンピュータのMomenta社 を起業して3年も経たないうちに社長の座を追われることとなったエラヒアン氏は、自らの経験から得た教訓を、豊富なエピソードと冗談を交えながら語ること で、会場に集まった130名以上の聴衆に感銘と勇気、そして希望を与えてくれた。
◆逆転の発想からの成功◆
1972年、18歳のときにイランから渡米。ユタ大学で工学修士を取得後、1978年、ヒューレット・パッカード(HP)社に入社。HP時代、スタン フォード大学のJim Clark教授の下に送られ、半導体の設計に従事するが、予想通りの性能が得られないという失敗を経験。ここにビジネスチャンスを見出し、1981年、コ ンピュータによる半導体の設計を支援するソフトウエアの会社CAE Systemsを設立。自分が体験した失敗の中から問題を見つけ出し、それを機会と捉える、まさに逆転の発想である。他人と違うことを考えるという姿勢が これを可能にしたといっても過言ではない。必要と考えていた資金を1セント単位まで計算して、ベンチャーキャピタリストにプレゼンするという逸話もあった ようだが、結果的には、3年以内に$75Mで買収される大成功を収める。さらに、1984年には、2社目のCirrus Logic社を設立。5年以内に株式公開し、$150Mの成功を収める。
◆悪夢のエイプリルフール◆
1992年4月1日、エラヒアン氏は、1989年に設立した3社目のベンチャー企業、ペン型入力コンピュータ開発のMomenta社において開催された取 締役会で、突然、解雇を言い渡される。ちょうどエイプリルフールの日ということもあり、はじめは冗談だと思っていたが、実は本当のことだと分かり、大きな ショックを受ける。解雇されたことを受け入れることができず否定してみたものの、状況は何も変わらず、また、その後、怒りを覚えたものの、その矛先はな かった。エラヒアン氏は当時38歳。幸いにも、これまでの2社の成功により経済的な蓄えがあったため、約1年にわたり、世界各国をめぐる放浪の旅に出る。
◆失敗の要因◆
リスクの3つの要素「技術、市場、人」を考えたとき、Momenta社の場合は、すべての要素を含んでいた。CAE SystemsやCirrus Logicなど、成功した企業の場合は、多くても2つの要素を含むだけだったので、リスクをコントロールすることができたという。その一方で、コントロー ルできないほど多くのリスクを抱えたことが、Momenta社の失敗の大きな要因だった。
◆失敗から得た教訓◆
檻に入れられた小象は、毎日逃げ出そうと挑戦するが、そのうち逃げることを諦める。大人になって大きくなっても、もはや象は逃げようとしない。それは、失 敗を受け入れてしまって、挑戦しなくなったからである。そんな話を交えながら、失敗に対する恐怖心に打ち克ち、挑戦し続けるという強い意志を持つことが大 切だということを紹介。
また、最高のチームをつくることも大切とのこと。人を選ぶ際のポイントになるのは、正直、知性、忍耐、チーム重視、ユーモア。人生は、正直でない信頼でき ない人の相手をしていられるほど長くはない。忍耐については、アメリカの第16代大統領リンカーンの失敗の連続の人生を挙げ、忍耐強く挑戦し続けるという ことがどういうことを意味するかを説明。ユーモアについては、ストレスを発散する方法になるということからも重要な要素。ビジネスをやっていく上では、う まくいっている時もあれば、うまくいかない時もある。ユーモアがあれば、うまくいかないときのストレスも発散することができる。「このようなことは言われ てみれば当たり前のことだが、豊富な経験に基づいて、改めて整理された話を聞くと、なるほどと納得させられた。」という参加者の声もあった。
◆WWW:A prelude to borderless, free, global trade◆
放浪の旅の中で癒され、ようやくエラヒアン氏は自らの進むべき道をみつける。人々を平和的に結びつけるような技術を開発しようと考えるようになったのであ る。そして、シリコンバレーに戻った1993年、Neo Magic社を設立し、4年以内に株式公開させ、$300Mの成功を収める。その後、Planet Web、Centillium Communications、Actelisといったベンチャー企業を設立。Centillium Communicationsは、3年以内に株式公開し、$700Mの値をつけた。
そんな失敗と成功を積み重ねてきた彼は、次のように考えるようになる。「人間の欲望というものが、戦争をするか、あるいは貿易をすることによって満たされ てきました。第一次世界大戦(WW1)、第二次世界大戦(WW2)と続いた戦争の次は、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)です。WWWは、国境のない自 由な世界規模の貿易への前触れなのです。」
そして現在は、起業家としての活動以外に、ベンチャーキャピタルファンドGlobal Catalyst Partnersや、世界36カ国で教育活動を行なうSchools Online、基金Global Catalyst Foundationを設立して、その運営にあたり、今も自分で掲げたビジョンの実現に向けて走り続けている。
当日は、シリコンバレーを訪問していた鹿児島大学の学生および教職員の方々も参加され、シリコンバレーの起業家精神に触れる貴重な機会になったとのこと。 会場では、講演後も、多くの参加者が列をなしてカムラン氏と言葉を交わしていた。参加者からは、「(失敗談であっても)あれだけ明るく話されると、『チャ レンジを忘れず、失敗を恐れないこと』が自分でもすぐに実践できるような気がした」といった声や、「ベンチャーキャピタリストといえば、タームシートの話 などが細かく難しい話が出てくるのかと思っていたが、もっともっと高いレベルの話を聞くことができて、多くのインスピレーションをもらった。今日、自分が 受けた刺激は、仕事を通じてお客さんにも伝えていきたい。」といった声が挙がっていた。人と違うことを考え、飽くなき挑戦をつづけるという姿勢。失敗を乗 り越え、掲げたビジョンの実現に向けて今も走り続ける姿。そんなエラヒアン氏の生き方は、参加者に感銘と勇気、そして希望を与えてくれた。
記事についてのお問い合わせは、info@svjen.org まで。
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| スピーカー: Global Catalyst Partners Chairman & Co-founder Kamran Elahian氏 | ![]() |
“Happiness is to have dreams. Success is to make them come true.” 失敗を認めて受け容れるということは難しい。しかし、失敗から学び、挑戦し続けることが成功につながる。Sughrue Mion、JETRO、Access Technology、WSGRといったスポンサーの方々とSVJENのボランティアスタッフの方々のご尽力を賜り、シリコンバレーで10社のベンチャー を起業した連続起業家 カムラン・エラヒアン氏をお迎えして、「失敗のレシピ」と題したセミナーが開催された。ペン型入力コンピュータのMomenta社 を起業して3年も経たないうちに社長の座を追われることとなったエラヒアン氏は、自らの経験から得た教訓を、豊富なエピソードと冗談を交えながら語ること で、会場に集まった130名以上の聴衆に感銘と勇気、そして希望を与えてくれた。
◆逆転の発想からの成功◆
1972年、18歳のときにイランから渡米。ユタ大学で工学修士を取得後、1978年、ヒューレット・パッカード(HP)社に入社。HP時代、スタン フォード大学のJim Clark教授の下に送られ、半導体の設計に従事するが、予想通りの性能が得られないという失敗を経験。ここにビジネスチャンスを見出し、1981年、コ ンピュータによる半導体の設計を支援するソフトウエアの会社CAE Systemsを設立。自分が体験した失敗の中から問題を見つけ出し、それを機会と捉える、まさに逆転の発想である。他人と違うことを考えるという姿勢が これを可能にしたといっても過言ではない。必要と考えていた資金を1セント単位まで計算して、ベンチャーキャピタリストにプレゼンするという逸話もあった ようだが、結果的には、3年以内に$75Mで買収される大成功を収める。さらに、1984年には、2社目のCirrus Logic社を設立。5年以内に株式公開し、$150Mの成功を収める。
◆悪夢のエイプリルフール◆
1992年4月1日、エラヒアン氏は、1989年に設立した3社目のベンチャー企業、ペン型入力コンピュータ開発のMomenta社において開催された取 締役会で、突然、解雇を言い渡される。ちょうどエイプリルフールの日ということもあり、はじめは冗談だと思っていたが、実は本当のことだと分かり、大きな ショックを受ける。解雇されたことを受け入れることができず否定してみたものの、状況は何も変わらず、また、その後、怒りを覚えたものの、その矛先はな かった。エラヒアン氏は当時38歳。幸いにも、これまでの2社の成功により経済的な蓄えがあったため、約1年にわたり、世界各国をめぐる放浪の旅に出る。
◆失敗の要因◆
リスクの3つの要素「技術、市場、人」を考えたとき、Momenta社の場合は、すべての要素を含んでいた。CAE SystemsやCirrus Logicなど、成功した企業の場合は、多くても2つの要素を含むだけだったので、リスクをコントロールすることができたという。その一方で、コントロー ルできないほど多くのリスクを抱えたことが、Momenta社の失敗の大きな要因だった。
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◆失敗から得た教訓◆
檻に入れられた小象は、毎日逃げ出そうと挑戦するが、そのうち逃げることを諦める。大人になって大きくなっても、もはや象は逃げようとしない。それは、失 敗を受け入れてしまって、挑戦しなくなったからである。そんな話を交えながら、失敗に対する恐怖心に打ち克ち、挑戦し続けるという強い意志を持つことが大 切だということを紹介。
また、最高のチームをつくることも大切とのこと。人を選ぶ際のポイントになるのは、正直、知性、忍耐、チーム重視、ユーモア。人生は、正直でない信頼でき ない人の相手をしていられるほど長くはない。忍耐については、アメリカの第16代大統領リンカーンの失敗の連続の人生を挙げ、忍耐強く挑戦し続けるという ことがどういうことを意味するかを説明。ユーモアについては、ストレスを発散する方法になるということからも重要な要素。ビジネスをやっていく上では、う まくいっている時もあれば、うまくいかない時もある。ユーモアがあれば、うまくいかないときのストレスも発散することができる。「このようなことは言われ てみれば当たり前のことだが、豊富な経験に基づいて、改めて整理された話を聞くと、なるほどと納得させられた。」という参加者の声もあった。
◆WWW:A prelude to borderless, free, global trade◆
放浪の旅の中で癒され、ようやくエラヒアン氏は自らの進むべき道をみつける。人々を平和的に結びつけるような技術を開発しようと考えるようになったのであ る。そして、シリコンバレーに戻った1993年、Neo Magic社を設立し、4年以内に株式公開させ、$300Mの成功を収める。その後、Planet Web、Centillium Communications、Actelisといったベンチャー企業を設立。Centillium Communicationsは、3年以内に株式公開し、$700Mの値をつけた。
そんな失敗と成功を積み重ねてきた彼は、次のように考えるようになる。「人間の欲望というものが、戦争をするか、あるいは貿易をすることによって満たされ てきました。第一次世界大戦(WW1)、第二次世界大戦(WW2)と続いた戦争の次は、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)です。WWWは、国境のない自 由な世界規模の貿易への前触れなのです。」
そして現在は、起業家としての活動以外に、ベンチャーキャピタルファンドGlobal Catalyst Partnersや、世界36カ国で教育活動を行なうSchools Online、基金Global Catalyst Foundationを設立して、その運営にあたり、今も自分で掲げたビジョンの実現に向けて走り続けている。
当日は、シリコンバレーを訪問していた鹿児島大学の学生および教職員の方々も参加され、シリコンバレーの起業家精神に触れる貴重な機会になったとのこと。 会場では、講演後も、多くの参加者が列をなしてカムラン氏と言葉を交わしていた。参加者からは、「(失敗談であっても)あれだけ明るく話されると、『チャ レンジを忘れず、失敗を恐れないこと』が自分でもすぐに実践できるような気がした」といった声や、「ベンチャーキャピタリストといえば、タームシートの話 などが細かく難しい話が出てくるのかと思っていたが、もっともっと高いレベルの話を聞くことができて、多くのインスピレーションをもらった。今日、自分が 受けた刺激は、仕事を通じてお客さんにも伝えていきたい。」といった声が挙がっていた。人と違うことを考え、飽くなき挑戦をつづけるという姿勢。失敗を乗 り越え、掲げたビジョンの実現に向けて今も走り続ける姿。そんなエラヒアン氏の生き方は、参加者に感銘と勇気、そして希望を与えてくれた。
(文:上田嘉紀、撮影:四元輝博)
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