「起業 異国での挑戦」 (日本経済新聞)

2004年12月22日付けの日本経済新聞にて、シリコンバレーの日本人起業家、KeyEye Communications, Inc.のCTO 鷹取洋氏、IP InfusionのVP 吉川欣也氏・CTO 石黒邦宏氏の活躍と共に、SVJENの活動が紹介されました。

また、記事で紹介されている起業家の方々は、SVJENの講演会にスピーカーとしてご参加くださっています。鷹取氏、吉川・石黒両氏の講演会のレポートは、下記のリンクからご覧下さい。






 シリコンバレーから北東に約150キロメートルの都市、サクラメント。米インテルで技術者の最高位「フェロー」まで上りつめながら、技術を追求したいと独立した鷹取洋(51)は、工業団地の一角にあるオフィスで、第一号製品の来年発売を控えて追い込みの真っ最中だ。
 日立製作所に入社後、カナダに留学。移籍した米ベンチャーがインテルに買収され、2001年にインテル時代の同僚らと企業の構内ネットワークなど向けに 高速チップを開発するキーアイ・コミュニケーションズを起こした。三年の歳月をかけ、大容量回線なしでも安価にコンピューター間で高速通信ができるチップ を、最初の製品として仕上げたが、ここに至るまでは苦難が伴った。
 ネットバブル崩壊後にベンチャー投資が低迷して資金難となり、鷹取も資金集めに奔走。吸収合併の話が出たこともあったが、多くの社員が独自開発にこだわったため断った。人を減らし開発を絞った時期もある。
 危機を乗り越えた原動力は「チームワークが大きかった」。こう振り返る鷹取はCTO(最高技術責任者)として開発に専念し、再建過程で経営のプロの米国 人をCEO(最高経営責任者)に招いた。経営やマーケティングの人材がいなければハイテクベンチャーとはいえ、ビジネスは描けない。個々の役割がはっきり している米国式の強みが身にしみた。
 会社の成長段階に合わせて経営などの専門家を招き、創業者は進んで開発部門トップや会社の精神的支柱の役割を担う。米国ではごく自然な起業文化だが、日本ではまだなじみが薄い。
 構内情報通信網(LAN)などの経路制御装置、ルーターの大体ソフトを開発するアイ・ピー・インフュージョン(サンノゼ市)。世界に挑戦しようと創業した吉川欣也(37、副社長)と石黒邦宏(37、CTO)は、米国人CEOを招く時は悩んだという。
 創業メンバーをトップに運営していきたいとの思いはあった。心は揺れたが、現地の日本人投資家の助言などもあり、成長にはプロの参加が不可欠と割り切った。
 今では社員約70人のうち日本人は自らを含め5人だけ。必要な人材を採用していったら、国籍は多岐に渡った。吉川は「当地のやり方で参考になることを柔軟に取り入れれば、チャンスは広がる」と、役割にあった人材の結集が成長を促すと確信する。
 環境や慣習が違うなかでの起業だけに、頭では理解しても実際の行動には戸惑いがつきもの。現地の人材採用や税務などを知らなければ、力を発揮するどころか余分な労力を費やす羽目になる。
 ネットワークを作って助け合う中国人やインド人に比べ、「日本人は孤立気味で情報の共有がないために不要な苦労を繰り返す」(インプロビスタ・インタラ クティブ・ミュージックCEOの曽我弘=69)。そう危ぐする曽我らの呼びかけで2年前、「シリコンバレー日本人起業家ネットワーク(SVJEN)」が旗 揚げした。交流を通じて事業ノウハウを共有するほか、人脈づくりにも生かしてもらう。
 経営の情報や意見の交換、専門家による知的所有権の解説のほか、「先輩経営者やキャピタリストなどによるメンタリング(指導)にも取りくみたい」。運営責任者の外村仁(41)は、日本人が起業しやすい環境作りを進めようと熱っぽく語る。

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